● 粗筋

安藤蛍一には幼い頃から熱を出すたびに見る奇怪な夢があった。
それは顔もよく見えない影と共に自分自身の身体を作っていくというなんとも奇天烈なもの。 けれどもそれは蛍一にとって少し不思議な『夢』でしかなかったはずだった。少なくとも、いままでは。
ある日を境に、人間の感情とともに姿を現すおぞましき蟲の姿が見えるようになってしまう。
蟲に怯え、蟲が這いずる人に怯え、精神を病み部屋へと引き籠もってしまう蛍一。
夢の住民、影は言う。「これは前世からの業なのだ」と――――。

主人公・安藤 蛍一（あんどう けいいち）視点で語られる物語です。
あなたは『蛍一』として、物語を進めていきます。
物心ついた頃から常に一緒にいた、幼馴染みであり親友でもある羽山 融（はやま とおる）、杉田 繭莉（すぎた まゆり）と共に 平凡で平和な高校生活を送っていたはずが、ある日を境に人に這い回る【蟲】を見るようになってしまいます。
いったいこの蟲はなんなのか。影が言う「業」とはなんのことなのか。
正体も原因も解決策も見つけられない突然の出来事に精神を疲弊させてしまい、すっかり様子のおかしくなったあなたを幼馴染みたちは心配してくれますが…………。
やがてあなたはその幼馴染みたちに隠れる『闇』に気付くはずです。
誰を信用し、誰に助けを求めるのか。あるいはひとりで解決へと進むのか。
あなたの選択で、結末は大きく変わっていきます。

● 登場人物

【安藤 蛍一】（あんどう けいいち）

物語の主人公。17歳の高校二年生。どこにでもいる平凡な少年。
内向的な性格でなかなか人と打ち解けられない。そのため自分とは真逆に社交的で友達も多い融のことを羨ましく思っている。
ある日突然、人の感情に反応して現れる『蟲』が見えるようになってしまう。
この世で一番嫌いなものは虫。

【羽山 融】（はやま とおる）

蛍一の幼馴染み。17歳の高校二年生。
活発で人懐っこく社交的な性格で友人も多いが、怒りの沸点が低いため余計なトラブルを持ち込みやすい。
蛍一と繭莉を（同い年ながら）弟妹のように想っており、彼らを傷付けるものはなんであれ許せないと思っている。自称・兄貴分。

【杉田 繭莉】（すぎた まゆり）

蛍一の幼馴染み。17歳の高校二年生。
人の怒りに酷く敏感で、諍い事などの際には常に顔を青ざめさせガタガタと震えている。
蛍一に恋心を抱いているがいまの関係を壊す勇気はなく、打ち明けられずにいる。